道の駅 水の郷さわら 店長・高柳智樹さんインタビュー(前編)

「道の駅は、いつの間にか“通り道”から“目的地”に変わった。」
そう語るのは、道の駅 水の郷さわらで店長を10年以上務める高柳智樹さん。もともと食に関わる仕事にはまったく興味がなかったという高柳さんが、なぜ数ある道の駅の中でも指折りの長期間、この場所を任され続けているのか。そこには、転職を重ねる中で培った現場感覚と、先代会長から受け継いだ商売への姿勢がありました。前編では、店長就任までの意外な経歴から、地元農家との出会い、そして予算の制約と向き合ったリニューアルの舞台裏まで伺いました。今回は中尾がインタビューを担当します。

高柳 智樹(たかやなぎ・ともき)さん
道の駅 水の郷さわら 店長。工場勤務やパチンコ店勤務、青果市場での勤務を経て、前任店長からの縁で道の駅 水の郷さわらへ。店長就任から約10年、道の駅としては11〜12年勤務し、歴代店長の中でも最長在任を更新中。

道の駅 水の郷さわら 店長・高柳智樹さんインタビュー(前編)

中尾
本日はよろしくお願いいたします。まずは自己紹介と、道の駅で働くことになった経緯を教えてください。

パチンコ店、工場、青果市場——転職を重ねて辿り着いた道の駅

高柳さん
道の駅 水の郷さわらの高柳智樹です。ここに勤め出して11〜12年ほどになります。店長としては10年ほど務めていています。もともと道の駅で働きたいと思っていたわけではなく、食に関わる仕事に就くこと自体、あまり考えたことがありませんでした。実は今の仕事に落ち着くまでに4〜5回ほど転職しています。最初は工場勤務、その後はパチンコ店に10年勤めました。パチンコ店を辞めたのは、勤めていた会社の事情で別会社への移籍を打診されたものの、自分が惹かれていたのは元の会社の経営者のもとで働くことだったためです。その後、青果市場(鹿島の市場)で働くことにしました。未経験の業種で不安もありましたが、人と話すのが得意だったこともあり、意外とスムーズに馴染めました。そこで知り合ったのが、道の駅の元店長です。元店長に誘われたのが、今につながるきっかけです。これまで多くの職を転々としてきましたが、無駄になったことは一つもないと感じています。パチンコ店時代の接客研修やポスター・チラシ作りのノウハウ、工場で取得した資格など、すべてどこかで今の仕事に活きています。

野菜作りの奥深さを教えてくれた、地元農家との出会い

中尾
道の駅の店長として働くことは、高柳さんにとって、どのような影響がありましたか。

高柳さん
販売の仕事は全くの未知の世界でした。ただ、やり始めると自然とスーパーの売り場が気になるようになり、毎日のように野菜コーナーを見に行くようになりました。ディスプレイの仕方や袋詰めなど、市場時代に学んだ視点で観察するのが習慣になっていったんです。
そのうち、地元の農家さんや出荷者の方々と売り場で世間話をするようになり、コミュニケーションが取れてくるといろいろなことを教えてもらえるようになりました。香取の地元の農家さんは基本的にみんな優しく、聞けば何でも答えてくれます。野菜作りは天候に大きく左右される大変な仕事で、半分ギャンブルのようだと感じるほどですが、だからこそ一次産業の大切さを実感するようになりました。生産者への興味が加工品への関心にもつながり、今では旅行先でも道の駅に立ち寄って自分の店と見比べるのが楽しみになっています。

予算不足を乗り越えた、こだわりのリニューアル

高柳さん
道の駅の運営は市との15年契約となっており、契約更新のタイミングで市の公募へ新しいグループで参加し、採択されました。
これまでは施設の半分(トイレ側のエリア)がフードコートでしたが、今回のリニューアルでは向かいの建物にフードコート・レストランの機能を移し、施設全体を道の駅として運営するという内容が市からの要求水準に含まれていました。これが今回のリニューアルの大きな柱です。施工にあたっては、他の道の駅も手がける実績あるメーカーに最初から入ってもらいました。リニューアル後は前年より3割ほど来客が増え、大きな手応えを感じています。

「年中無休」への誇りは、亡き会長の教えから

中尾
高柳さんが道の駅の店長として、意識されている点や、一番こだわっていることはなんでしょうか。

高柳さん
一番こだわっているのは、年中無休で営業を続けるために、どう人をやりくりし、どうモチベーションを維持していくかという点です。台風や大雪の日でも、基本的には店を開けたいという方針を貫いています。これは、亡くなった先代の会長の教えによるものです。会長は「道の駅は24時間トイレが使え、地元の野菜も買え、年中無休で開いている」という安心感・信頼感をとても大切にしていました。商売において「お客様を一番に考える」という泥臭い姿勢を会長から学び、今も大きな影響を受けています。

前編では、高柳さんのこれまでの歩みと、地元農家との出会い、そしてリニューアルの裏側にあった試行錯誤について伺いました。
後編では、コロナ禍を経て気づいた地元のお客様の大切さ、道の駅の魅力へのこだわり、そして香取市への想いについてさらに詳しくお話を伺います。

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