
前編では、道の駅 水の郷さわら 店長・高柳智樹さんのこれまでの歩みと、地元農家との出会い、リニューアルの裏側について伺いました。後編では、コロナ禍を経て気づいた地元のお客様の大切さ、道の駅の魅力へのこだわり、そして香取市への想いについて詳しくお話を伺います。
コロナ禍で気づいた、地元のお客様の大切さ
中尾
コロナ禍は道の駅にとって大きな打撃だったと思うのですが、当時はどのような影響がありましたか。
高柳さん
コロナ以前は、来客の6〜7割ほどが市外・県外からのお客様でした。コロナ禍で外出制限がかかった際、外からのお客様が来られなくなり、経営が心配になりました。ところが、代わりに地元のお客様が増えたんです。それまであまり利用していなかった地元の方が「いいものがあるじゃないか」と気づいて来店するようになり、この経験から「地元のお客様を大事にしなければ」という意識が強まりました。店には香取市の商品だけでなく、有名なドーナツ店の商品など、他地域の商品もあえて置いています。これは観光客だけでなく、地元のお客様に「毎回来ても飽きない」楽しさを提供するためです。地元のお客様は基本的に香取市の商品を求めますが、毎日同じ品揃えでは飽きてしまう。だからこそ、少しでも楽しんでもらえるよう工夫しています。
遠方からのリピーターも。「品数の多さ」へのこだわり
高柳さん
固定客も多く、東京・神奈川・千葉西部・埼玉などから1〜2ヶ月に1回来店される常連の方を何人も把握しています。以前、横浜から芋を30箱ほどまとめ買いに来て、翌月にはまた来店されたお客様もいました。一番大切にしているのは「品数の多さ」です。商品自体の魅力はもちろんですが、選べる楽しさ、見る楽しさを大事にしていて、棚を欠品させないよう心がけています。ただし、品数を増やす際も地元の商品・生産者を邪魔しないバランスが重要です。地元の生産者とお客様、両方を立てながら運営していくことが欠かせないと感じています。近隣には圏央道・香取佐原インターチェンジもありますが、水の郷さわらへは堤防沿いに柏方面・千葉西部方面から来店される方が多いようです。
「中継地点」から「目的地」へ。進化する道の駅
中尾
高柳さんご自身は、『道の駅』とはどのような場所だと思いますか。
高柳さん
ここ十数年で、道の駅は大きく進化したと感じています。以前は観光の「中継地点」(お手洗い休憩程度の場所)という位置づけでしたが、今では道の駅自体が「目的地」になっています。1日中楽しめるテーマパークのようなコンセプトの道の駅も増えており、買い物・食事・アクティビティを一箇所で楽しめる、意外と手頃な観光先になっていると感じます。
ただし、道の駅は観光客相手だけの商売ではありません。地元の方に信頼され愛されなければ、経営は安定しないと思っています。観光客から「地元と関係ない商品を置いている」と言われることもありますが、それでも地元のお客様を大切にする方針は変えていません。
香取市を一言で表すなら
中尾
ここまで道の駅についてのお話しを伺いました。この香取市についてもお聞きしたいのですが、香取市を一言で表すとしたら、いかがでしょうか。
高柳さん
仕事がきっかけで香取市に関わるようになるまでは、正直あまり縁がありませんでした。実は道の駅ができた当初、家族で一度訪れたことがあったようなんですが、当時は全く興味がなく覚えていなかったほどです。店長として働く中で、香取市が歴史のある街だと知りました。隣町に住んでいますが、香取のさまざまな文化に触れる中で楽しさを感じています。個人的には、小野川沿いが川越のように平日昼間から賑わうようになればいいと思う一方、それを実現するのは簡単なことではないとも感じています。一言で表すなら、「農業の街」「商人の街」、あるいは「水の街」。昔ながらの雰囲気が残る場所だと感じています。それでも、香取市には栄えていてほしい、人が来てほしいという思いは強く持っています。